中小企業における事業承継(2)~従業員や社外への継承

従業員や社外への継承とは

本稿での事業承継は、簡単にいうと経営者の親族以外の人に事業を承継するケースです。
社内へ承継するケースでは、経営者の片腕だった役員やリーダー格の従業員などが考えられます。
この場合は、後継者が会社の事業に詳しく、内部の従業員に対しても親和性があることから、スムーズな引き継ぎが期待できます。

社外へ承継するケースは、会社の外から経営に詳しい人材を呼び寄せ、後継者になってもらうようなケースです。
取引先の金融機関や関連企業から人材を呼び寄せるような場合が多いでしょう。
経営に強い人材が集まる点が、このケースのメリットといえます。

これら従業員や社外への承継のデメリットは、
 事業承継に必要な株式取得等に資金が必要になる
 個人債務保証の引き継ぎが必要になる
ことが挙げられます。

従業員や社外への承継の具体的手法

従業員や社外への承継では、株式や事業用財産をどのように引き継がせていくかが問題になります。
まずは、後継者が旧経営者から生前贈与や死因贈与を受ける方法があります。
この場合には、贈与について旧経営者の相続人の理解を得ることが大切です。
相続人に財産的価値を残したままで、後継者が経営権を保有する場合には、相続人には議決権制限付株式を割当て、後継者が普通株式を継承するというやり方もあります。
また、後継者が旧経営者やその相続人から自社の株式を買い取るやり方もあります。
この場合には、後継者の資金力が問題になるでしょう。

従業員や社外への承継で大きく問題になるのが、個人債務保証の引き継ぎです。
中小企業では、金融機関から資金の融資を受ける際に、代表者個人が連帯保証人になっていることが良くあります。
その場合には、代表者が交代すると、金融機関が新しい代表者を保証人に加えるように求めてくることがあるのです。

後継者としては、個人債務保証を引き継ぐことになるのは大きな負担になります。
事業譲渡をする際には、できるだけの債務の圧縮を図ることが求められるでしょう。

※この記事は平成27年12月現在の法制度を前提に記載されています。

2015年12月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : kawaguchi.sogo