「知らない番号から電話がかかってくる」「督促状が届いた」「職場にまで連絡が来た」――借金の返済が遅れると、債権者からの督促や取り立てが始まります。
督促を無視し続けると、最終的には給与や銀行口座の差し押さえに至ることも。この記事では、借金の督促・取り立てへの正しい対処法と、督促を止める方法を詳しく解説します。
借金の督促・取り立ての流れ
借金の返済が滞ると、一般的に以下の順序で督促が行われます。
段階1:電話・メールでの連絡(滞納1日〜)
返済日の翌日〜数日以内に、債権者から携帯電話やメールで「返済のお願い」の連絡が入ります。この段階では丁寧な口調のことが多く、返済日の確認や入金予定日の相談が主な内容です。
段階2:督促状(催告書)の送付(滞納2週間〜1ヶ月)
電話に出なかったり、約束した日に返済がない場合、書面による督促状が届きます。「〇月〇日までにお支払いください」という内容で、遅延損害金の加算についても記載されています。
段階3:内容証明郵便・一括請求(滞納2〜3ヶ月)
滞納が2〜3ヶ月続くと、「期限の利益の喪失」により分割払いの権利がなくなり、残金の一括請求が行われます。内容証明郵便で届くことが多く、「〇日以内に全額支払わない場合は法的手続きに移行する」という文言が含まれます。
段階4:債権回収会社(サービサー)への委託(滞納3〜6ヶ月)
元の債権者が債権回収会社(サービサー)に回収を委託、または債権を譲渡するケースがあります。見慣れない会社名から突然連絡が来るため、詐欺と勘違いする方もいますが、正規の手続きです。
段階5:裁判所からの通知(支払督促・訴状)
裁判所から「支払督促」や「訴状」が届きます。これを無視すると、債権者の請求がそのまま認められ、強制執行(差し押さえ)が可能になります。裁判所からの通知は絶対に無視してはいけません。
段階6:強制執行(差し押さえ)
裁判所の判決や支払督促が確定すると、給与(手取りの1/4まで)、預貯金、不動産などが差し押さえられます。給与の差し押さえは会社に通知されるため、職場に借金の事実が知られてしまいます。
違法な取り立ての見分け方
貸金業法では、以下のような取り立て行為は禁止されています。このような行為を受けた場合は、証拠を残して警察や弁護士に相談しましょう。
| 違法な取り立て行為 | 法的根拠 |
|---|---|
| 午後9時〜午前8時の電話・訪問 | 貸金業法21条1項1号 |
| 正当な理由なく勤務先に連絡する | 貸金業法21条1項3号 |
| 張り紙や立て看板で借金の事実を周知する | 貸金業法21条1項4号 |
| 他の貸金業者からの借入で返済を要求する | 貸金業法21条1項5号 |
| 弁護士・司法書士介入後に本人に直接連絡する | 貸金業法21条1項9号 |
| 暴力的な態度・大声・乱暴な言葉を使う | 貸金業法21条1項2号 |
| 債務者以外(親族・知人等)に返済を要求する | 貸金業法21条1項7号 |
督促・取り立てが来たときの対処法
対処法1:まず落ち着いて状況を確認する
督促が来たらまず冷静に、以下の点を確認しましょう。
- どの業者からの督促か
- 滞納している金額はいくらか
- いつから滞納しているか
- 書面が届いた場合は保管しておく
対処法2:返済可能なら連絡して支払う
一時的な遅れであれば、速やかに債権者に連絡して支払い日を伝えましょう。誠実な対応をすれば、多くの場合は柔軟に対応してもらえます。返済が数日遅れる程度であれば、遅延損害金は少額で済みます。
対処法3:返済が難しい場合は専門家に相談
返済のめどが立たない場合は、できるだけ早く弁護士・司法書士に相談しましょう。債務整理の手続きを始めれば、受任通知の送付により督促を止めることができます。
対処法4:裁判所からの通知には必ず対応する
「支払督促」が届いた場合は2週間以内に異議申立てをしないと、債権者の請求が確定してしまいます。「訴状」が届いた場合は、口頭弁論期日までに答弁書を提出する必要があります。いずれの場合も、すぐに弁護士に相談してください。
対処法5:身に覚えのない請求は詐欺の可能性
架空請求詐欺の可能性もあります。以下に該当する場合は詐欺を疑ってください。
- 心当たりのない会社名からの請求
- 「本日中に連絡しないと法的措置」などの過度に急かす文面
- 個人名義の口座への振込を指定
- SMSやメールだけで届く請求
不安な場合は、消費者ホットライン(188)や最寄りの消費生活センターに相談しましょう。
借金の督促を止める3つの方法
方法1:弁護士・司法書士に依頼する(最も確実)
弁護士・司法書士に債務整理を依頼すると、「受任通知」が各債権者に送られます。貸金業法により、受任通知を受け取った債権者は、本人への直接の連絡が禁止されます。依頼した翌日〜数日以内に督促が止まります。
方法2:債権者に直接連絡して返済計画を相談する
債権者に電話して、現在の状況と返済の見通しを正直に伝えます。一時的な減額や支払い猶予に応じてもらえることもあります。ただし、根本的な解決にはならないため、返済が困難な場合は専門家への相談をおすすめします。
方法3:時効の援用(条件を満たす場合)
最後の返済から5年以上(一部は10年以上)が経過している場合、消滅時効の援用ができる可能性があります。ただし、時効の判断は複雑なため、必ず弁護士・司法書士に相談してから手続きを行ってください。時効が成立する前に債務を承認してしまうと、時効がリセットされるため注意が必要です。
滞納を放置するとどうなる?リスクまとめ
| 滞納期間 | 発生するリスク |
|---|---|
| 1日〜 | 遅延損害金が発生(年利14.6〜20%) |
| 1〜2ヶ月 | 信用情報に延滞記録が登録される |
| 2〜3ヶ月 | 期限の利益喪失・一括請求、ブラックリスト入り |
| 3〜6ヶ月 | 債権回収会社への移管、裁判所への申立て |
| 6ヶ月〜 | 給与・預貯金・不動産の差し押さえ |
滞納期間が長くなるほど、遅延損害金が膨らみ、解決が困難になります。督促が来た段階で早めに対処することが重要です。
借金問題の無料相談先一覧
借金の督促や返済に困ったら、以下の窓口に相談できます。いずれも無料で利用可能です。
| 相談先 | 特徴 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 法テラス(日本司法支援センター) | 収入が一定以下なら弁護士費用の立替制度あり | 0570-078374 |
| 日本弁護士連合会 | 各地の弁護士会で無料法律相談を実施 | 各弁護士会に問い合わせ |
| 日本司法書士会連合会 | 全国の司法書士会で無料相談を実施 | 各司法書士会に問い合わせ |
| 消費生活センター | 多重債務の相談に対応、適切な機関を紹介 | 188(消費者ホットライン) |
| 日本貸金業協会 | 貸金業者とのトラブル相談、返済計画の相談 | 0570-051-051 |
| 金融庁 多重債務相談窓口 | 各財務局で無料相談を実施 | 各財務局に問い合わせ |
借金の督促に関するよくある質問
Q. 督促の電話に出ないとどうなりますか?
電話に出ないと、書面での督促に切り替わり、最終的には裁判所を通じた法的手続き(支払督促や訴訟)に発展します。電話に出られない場合でも、折り返し連絡するか、早めに弁護士に相談することが重要です。
Q. 家族や職場に連絡されることはありますか?
貸金業法により、正当な理由なく自宅以外(職場など)に連絡することは禁止されています。ただし、本人と連絡が取れない場合や、訴訟に発展した場合は、勤務先に連絡が入ったり、給与差し押さえにより職場に知られる可能性があります。
Q. 督促状が届いたら何日以内に対応すべき?
できるだけ早く、遅くとも書面に記載された期限までに対応しましょう。特に裁判所からの「支払督促」は2週間以内に異議申立てをしないと確定してしまいます。普通の督促状でも、放置すると法的手続きに移行するリスクが高まります。
Q. 借金の時効は何年ですか?
消費者金融やクレジットカードの借金(商事債権)は、最後の返済日から5年で消滅時効が完成します。ただし、時効を主張するには「時効の援用」という手続きが必要です。また、その間に裁判を起こされたり、債務を承認すると時効がリセットされます。
Q. 差し押さえを受けると生活できなくなりますか?
給与の差し押さえは手取りの1/4まで(手取り44万円超の場合は33万円を超える部分)と法律で定められています。最低限の生活は保障されますが、月々の収入が大幅に減るため、早めに弁護士に相談して差し押さえを回避することをおすすめします。
まとめ:督促を受けたら早めの相談が最善の対処法
借金の督促は、放置すればするほど状況が悪化します。遅延損害金が膨らみ、信用情報が傷つき、最悪の場合は差し押さえに至ります。
逆に、早い段階で専門家に相談すれば、選択肢が多く残されています。弁護士・司法書士に依頼すれば督促はすぐに止まり、あなたに合った解決方法を提案してもらえます。
多くの事務所では無料相談を受け付けています。「まだ大丈夫」と思わず、督促が来た時点で相談を検討しましょう。早めの一歩が、借金問題の早期解決につながります。
