債務整理すると車はどうなる?手放す場合と残す方法
「債務整理をしたら車を手放さなければならないの?」これは、車を生活や仕事に欠かせない道具として使っている方にとって、非常に重要な疑問です。結論を言えば、手続きの種類や車の状況によっては、車を手放さずに済む可能性があります。
本記事では、任意整理・自己破産・個人再生の3種類の手続きについて、車への影響を詳しく解説します。ローン中の車の扱い、車を残すための具体的な方法、そして車を手放した後の代替交通手段まで、2026年の最新情報をもとに網羅的にまとめました。
【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件に対する法的アドバイスではありません。車の取扱いは案件の詳細によって異なります。必ず弁護士等の専門家にご相談ください。
手続き別・車への影響の全体像
まず、3種類の手続きごとに車への影響を整理します。
| 手続き | ローン完済の車 | ローン中の車 | 車を残せる可能性 |
|---|---|---|---|
| 任意整理 | 原則残せる | ローン会社が整理対象なら引き揚げの可能性あり | 高い(ローン完済の場合) |
| 自己破産 | 20万円以下なら残せる可能性あり | 引き揚げられる可能性が高い | 条件次第(評価額・ローン有無) |
| 個人再生 | 原則残せる(清算価値に含まれる) | 別除権協定を利用すれば残せる可能性あり | 中程度(別除権協定の活用で可能) |
任意整理の場合|ローン完済なら車を残せる
任意整理は、特定の債権者を対象に選んで交渉する手続きです。裁判所を介さないため、財産の換価・処分は原則として発生しません。
ローンを完済した車の場合
ローンが完済されていて、車の所有権が完全に自分にある場合、任意整理の対象から外すことが可能です。つまり、ローン完済の車は原則として手放す必要がありません。
ローン中の車の場合
自動車ローンを利用して購入した車の場合、多くのケースでローン会社(信販会社)が「所有権留保」という形で車の所有権を持っています。この場合、ローン会社を整理対象の債権者に含めると、車を引き揚げられるリスクがあります。
ローン会社を整理対象から外せば車を維持できる可能性がありますが、そのためにはローンの支払いを続ける必要があります。どうするかは弁護士と相談の上で判断しましょう。
任意整理での注意点
- ローン会社を対象から外した場合、そのローンは任意整理後も支払い続ける必要がある
- 任意整理後は新たなローンを組むことが難しくなる(信用情報の影響)
- 任意整理中でも車検・保険の維持は必要
自己破産の場合|評価額が鍵となる
自己破産は、財産を処分して債権者への返済に充てることが原則の手続きです。そのため、車についても一定の条件のもとで処分の対象になります。
20万円以下の車は手元に残せる可能性がある
自己破産では、破産財団(処分対象の財産)に含まれる財産と、自由財産(手元に残せる財産)とが区別されます。現金20万円以下に相当する財産は自由財産として認められることが多く、査定額(時価)が20万円以下の車は手元に残せる可能性があります。
ただし、これは必ずしも保証されるものではなく、裁判所や管財人の判断によります。詳細は裁判所公式サイト(自己破産)もご参照ください。
20万円超の車は処分対象となることが多い
査定額が20万円を超える車は、原則として破産財団に組み込まれ、管財人によって売却・換価処分されます。年式が古い車でも状態が良ければ評価額が高くなる場合があるため、事前に専門家と相談して査定額を確認することが重要です。
ローン中の車の場合
ローン会社が所有権を持つ車は、ローン残高がある限り、ローン会社に引き揚げられることがほとんどです。自己破産手続きでは、担保権者(ローン会社)は「別除権者」として、手続き外で担保権を行使できるからです(破産法第65条)。
自己破産に関する法律の詳細は破産法(e-Gov法令検索)でご確認いただけます。
【注意】自己破産申立て直前に車を故意に低額で売却したり、名義変更したりすることは、「財産隠し」とみなされ、免責不許可事由に該当する可能性があります。手続き前の財産処分については必ず弁護士に相談してください。
個人再生の場合|別除権協定で車を残せることも
個人再生は、裁判所の認可を得て借金を大幅に減額し、残額を分割返済する手続きです。自己破産と異なり、財産をすべて処分する必要はありませんが、「清算価値保障原則」により、財産の評価額が返済計画に影響します。
ローン完済の車の場合
ローンが完済されていて自分が所有権を持つ車は、個人再生でも原則として手元に残すことができます。ただし、車の評価額は清算価値(最低限返済しなければならない金額の算定基準)に含まれるため、高額な車を保有していると返済額が増える可能性があります。
ローン中の車と別除権協定
個人再生でローン中の車を残す方法として、「別除権協定(べつじょけんきょうてい)」があります。これは、ローン会社との間で特別な合意を結び、ローンの支払いを継続する代わりに車を手放さないようにする方法です。
別除権協定のポイント
- ローン会社との個別交渉が必要
- すべてのローン会社が協定に同意するとは限らない
- ローン残高が車の評価額を上回っている(オーバーローン)の場合は協定が成立しやすい
- 協定が成立すれば、個人再生中もローンを払い続けて車を維持できる
個人再生の手続き全般については裁判所公式サイト(個人再生)をご参照ください。
車を残す方法まとめ|手続き別の具体的な対策
任意整理で車を残す方法
- 車のローン会社を整理対象から外し、ローンの支払いを継続する
- ローン完済の車はそのまま維持
- 対象債権者を選択する際、弁護士と十分に相談する
自己破産で車を残す方法
- 車の査定額が20万円以下になるよう確認(年式の古い車は有利)
- 自由財産の拡張申立てを行う(裁判所の裁量による)
- 家族名義の車を活用する(ただし、実質的な所有者が破産者と判断される場合は問題あり)
個人再生で車を残す方法
- 別除権協定をローン会社と締結する交渉を弁護士に依頼する
- オーバーローン状態の場合は協定が成立しやすい
- ローン完済の場合は清算価値に含めつつも手元に残せる
所有権留保とは?ローン中の車に関する重要な知識
自動車ローンを利用して購入した車の多くは、「所有権留保」という条件がついています。これは、ローンを完済するまでの間、車の所有権がローン会社(または信販会社・ディーラー)に留保されている状態です。
所有権留保の確認方法
- 自動車の車検証(自動車検査証)の「所有者」欄を確認する
- 「所有者」がローン会社やディーラーになっていれば所有権留保がある
- 「使用者」が自分になっていても、所有権はローン会社にある場合が多い
車検証の確認は無料でできます。所有権留保の有無は、債務整理の方針に大きく影響するため、必ず確認してから専門家に相談しましょう。
車を手放さなければならない場合の代替交通手段
どうしても車を手放すことになった場合でも、生活への影響を最小限にする方法があります。
公共交通機関の活用
都市部では、バス・電車・地下鉄などで多くの移動需要をカバーできます。定期券を活用することでコストを抑えられます。
カーシェアリング・レンタカーの活用
日常的な移動には公共交通機関を使い、荷物運搬や遠出の際にはカーシェアリングやレンタカーを利用する方法です。月額費用を大幅に抑えられる場合があります。
電動アシスト自転車・原付バイクの活用
近距離の移動には、電動アシスト自転車や原付バイクが有効な選択肢です。費用も車に比べて大幅に安く済みます。
家族・知人の車を借りる
一時的に家族や知人の車を借りることも選択肢の一つですが、保険の適用範囲を確認しておくことが必要です。
債務整理後の新たなカーローンについて
債務整理後は信用情報機関に一定期間記録されるため(ブラックリスト)、通常のカーローンを組むことが難しくなります。一般的に、任意整理では5年程度、自己破産・個人再生では5〜10年程度は新たなローンが組みにくい状態が続きます。
【注意】債務整理後にカーローンを組む際、「審査なし」「ブラックでも通る」などをうたう業者には注意が必要です。貸金業の登録がない業者や、著しく高金利を設定している業者は、悪質業者の可能性があります。借入れの際は必ず貸金業登録を確認してください。金融庁の金融庁公式サイトでは貸金業者の登録情報を確認できます。
仕事で車が必要な場合の特別な対応
営業職・配送業・介護職など、仕事上で車が不可欠な方への対応も確認しておきましょう。
自由財産の拡張申立て(自己破産の場合)
自己破産でも、仕事上で車が必要不可欠であることを裁判所に申立て、自由財産の拡張を認めてもらえる場合があります。ただし、認められるかどうかは裁判所の裁量によります。
会社名義の社用車は影響を受けない
個人所有ではなく、会社(勤務先)名義の社用車を使用している場合、その車は個人の財産ではないため、債務整理の影響を受けません。
家族名義の車
家族(配偶者・親など)名義で登録された車は、原則として個人の財産に含まれません。ただし、実質的な購入資金が本人(破産者)のものである場合、財産隠しとみなされるリスクがあります。事前に弁護士に相談してください。
債務整理全般の情報は法テラス(日本司法支援センター)でも提供されています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 任意整理中も車の運転はできますか?
A. 任意整理の手続き中であっても、運転免許が停止されるわけではありません。所有・使用している車が引き揚げられなければ、通常通り運転できます。
Q2. 自己破産をすると車の査定はどのように行われますか?
A. 管財事件の場合は破産管財人が査定を行います。同時廃止事件の場合は市場価格(中古車査定額など)を基準に評価されます。古い車や走行距離が多い車は評価額が低くなる傾向があります。
Q3. 個人再生でオーバーローンの場合、車はどうなりますか?
A. ローン残高が車の時価評価額を上回る「オーバーローン」の状態の場合、実質的な資産価値はゼロ(またはマイナス)とみなされることが多く、別除権協定によりローンを払い続けながら車を維持できる可能性が高くなります。
Q4. 車をローンで購入した後すぐ債務整理した場合はどうなりますか?
A. ローン購入後すぐの場合、車の評価額よりローン残高の方が大きい(オーバーローン)ことが多く、ローン会社に引き揚げられるケースが大半です。また、直前の借入れは手続き上で問題になることもあるため、弁護士への相談が不可欠です。
Q5. 車の任意売却で借金返済に充てることはできますか?
A. 自分名義の車(ローン完済済み)であれば、売却して得た資金を借金返済に充てることは可能です。ただし、偏頗弁済(特定の債権者だけを優遇する返済)にならないよう注意が必要です。売却のタイミングについては弁護士に相談しましょう。
Q6. 債務整理後に車を購入するにはどうすればいいですか?
A. 信用情報の回復後(任意整理は約5年、自己破産・個人再生は約5〜10年)には、通常のカーローンが利用可能になります。回復前は現金一括購入か、審査の緩い中古車ローン(金利は高め)を利用する方法があります。
「車を残せるか不安」という方も、まず無料相談を
車が生活や仕事に欠かせない方ほど、債務整理への不安は大きいものです。しかし、手続きの選択や進め方によっては、車を手放さずに借金問題を解決できる可能性があります。
「自分の場合は車を残せるか?」という疑問は、専門家への無料相談で確認できます。まずはお気軽にご相談ください。
【免責事項】本記事は2026年4月時点の法令・判例をもとに作成していますが、個別案件への適用については必ず弁護士・司法書士等の専門家にご確認ください。本記事の情報に基づいた行動の結果について、当サイトは責任を負いかねます。また、裁判所の判断は案件によって異なるため、本記事の内容が必ずしもすべての案件に当てはまるとは限りません。
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