FX運営会社のキャッシュバック金不払いが違法と判断された事例紹介

今回は、最近になってトラブルが増加しているFXに関する裁判例を紹介したいと思います。

FXとは、「margin Foreign eXchange trading」の略で外国為替証拠金取引を意味します。

FXの会社や証券会社を通じて、外国為替を取引する金融商品です。

FXは、異なる2つの国の通貨を取引し、その差額が損益となります。

ドルやユーロ、円といった主要な国の通貨は、変動相場制を導入して、刻々と為替レートが値動きします。

その値動きの動向によってレートの差額を儲けようというのです。

 

10年ほど前から、インターネットを利用したFX取引が活発になりました。、

ネットで気軽に売買できることから、安易に手を出す人もいますが、
株や投資信託などと比べると非常に投機性のある商品であることを理解する必要があります。

さらにFX会社では「レバレッジ」と呼ばれる証拠金取引方式を利用していることが多く、
あっという間に何百万という損失が出ることもあります。

そのため、最近はFXが原因で経済的に破綻してしまったという相談も増えています。

FX商品はこのように非常にハイリスク・ハイリターンな商品ですが、
FX運営会社はさかんに(主にネット上で)広告を出しており、様々なキャンペーンを行って顧客を誘引しています。

以下の裁判例は、そのようなキャンペーンにまつわる事例です。

 

東京地裁平成26年6月19日判決(確定)

1 事案の概要

FX運営会社であるY社は、1か月の取引高に応じたキャッシュバック金を支払うというキャンぺーンを行っていました。
Xさんは、このキャンペーンに申込み、Y社を利用して多数の取引をした結果、
金190万円のキャッシュバックを受けられることになりました。
ところが、Y社はXさんが禁止ツールを利用して取引をしていたとして、取引約款の条項に基づいて、
Xさんの口座を強制的に解約し、キャッシュバック金も支払いませんでした。

2 争点

Y社の主張は、大まかに言うと、
(1)XさんがFX取引をする際に、他社の為替チャート等を参照していたことが「禁止ツールの利用」になる。
(2)Xさんの取引手法は、手動で行うことは難しく、禁止ツールを利用したに違いない
等といったものでした。

3 判決

(1)について、他社の為替チャートを参照して取引を行う行為は、禁止されるツールの利用とはいえない。
(2)について、Xさんの取引手法は、禁止ツールでなければ実行することができないものとはいえない。
としました。
そして、Y社が合理的な理由なくキャッシュバック金の支払いを拒否することは信義則上許されず、
本件ではY社に合理的な理由はないとして、Xさんの請求を全て認めました。

 

私見としては妥当な判決といえます。

FX取引は一時下火になっていましたが、最近また活発化しているように感じます。

消費者は、安易なキャンペーンに流されず、リスクをしっかりと見極めた上で、
利用するかしないかを判断していくことが必要でしょう。

 

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2015年9月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : kawaguchi.sogo